文・編集:upnow media編集部 | 編集方針
「もうプラットフォーム経由のサロンの新規予約は月に1件か2件。あとは全部、自社予約のリピーターで回っています」。約10拠点のレンタルスペースを運営する湘南のホスト・ナントさんは、自身のレンタルサロンの実態をこう明かしてくれました。新規がほとんど入らないのに、売上は安定している。しかも運営の手間はほとんどかからない。レンタルスペースの集客というと新規予約を増やす話になりがちですが、サロンという用途では、まったく別のゲームが起きています。
この記事では、ナントさんへの取材をもとに、レンタルサロンが収益化しやすいと言われる理由と、リピーターを定着させるための具体的な工夫を紹介します。ナントさんの運営哲学全体は、インタビュー記事で詳しく聞いています。(取材日:2026年10月13日)
取材対象
ナントさんレンタルスペース運営者・「レンスペ倶楽部」主宰/パートナーのカナルさんと二人で運営
2017年に湘南で民泊からスタートし、レンタルスペース運営へ。民泊歴9年、無人のレンタルスペース運営歴8年。サロン、パーティースペース、貸会議室、撮影スタジオ、「何もしない部屋」まで、これまでに幅広い用途を手がけ、現在は約10拠点を運営する。大手予約プラットフォームでのベストホスト受賞は2回。運営者同士がつながるコミュニティ「レンスペ倶楽部」を主宰し、noteでの情報発信や個別相談も行っている。
パートナーのカナルさんとの二人三脚で、物件探しから運営までを分担。ふたりの名前を合わせて「なんとかなる」。夫婦で取り組むホストは多くないと、ナントさん自身も語る。
この記事の要点
- レンタルサロンは個人セラピストの利用が中心で、リピーター施策が効きやすい
- 利用は基本2人のため騒音クレームがほぼなく、立ち退きリスクが低い
- 新規はプラットフォーム、リピーターは自社予約に育てる二本立て
- 荷物置き場の提供など、常連の「やめない理由」を積み重ねる
レンタルサロンが「収益化しやすい」と言われる理由
レンタルサロンとは、個人のセラピストやエステティシャン、整体師などが施術の場として時間借りする小さなスペースのことです。ナントさんは貸会議室との比較で、その特徴を説明します。「貸会議室もリピーターはつくんですが、法人利用が多くて、経理の方が予約しているケースも多い。そういう方は、クーポンや別の予約方法を紹介しても面倒くさがって使ってくれないんです。多分ブックマークして、そのまま毎回同じ方法で予約しているんだろうなと」
「それに対してレンタルサロンは、個人のセラピストさんが自分のお金で使っている。安く済むなら、クーポンがあるなら、と動いてくれるので、リピーター向けの施策がよく効くんです。レンタルサロンと貸会議室があったら、レンタルサロンのほうが収益化はしやすいだろうなと思っています」
物件面のハードルも低めです。施術ベッドが置ければ部屋は小さくてよく、駅近でさえあれば自然光などの条件は問われません。そして何より、利用者が施術者とお客さんの基本2人に限られるため、騒音トラブルがほぼ起きない。「騒音クレームを食らったケースを、聞いたことがないんですよ」とナントさん。近隣クレームによる立ち退きリスクが極めて低いことは、パーティー系の用途と比べたときの決定的な違いです。
月の新規は1〜2件。それでも売上が回る構造
ナントさんがレンタルサロンを立ち上げたのは約7年前。池袋からひと駅の大塚でした。「当時、あのエリアにレンタルサロンは4件しかなかったんです。だから『池袋』というキーワードでSEO対策をして、池袋で検索した人に大塚のうちが上位に出るようにしていた。めちゃくちゃ予約が入りました」
重要なのはその先です。ナントさんは最初の集客で入ってきた利用者を、徹底的にリピーターとして囲い込みました。「最初にリピーターをすごく囲い込んでいたので、ずっと大丈夫、という感じでした」。現在のサロンの予約は、プラットフォーム経由の新規が月1〜2件程度。売上の大半は、自社予約を使う4人の固定リピーターで構成されています。「4人のリピーターで回っているんで。超楽です」
新規集客はプラットフォームに任せ、ついた顧客はクーポンなどを使って自社予約のリピーターに育てる。この二段構えが、サロン運営の基本形です。個人のセラピストは週に何度も同じ場所を使うため、一度定着すれば予約は自動的に積み上がっていきます。自社予約の育て方はレンタルスペースの自社予約サイト集客で詳しく解説しています。
常連の荷物を置けるようにする。リピーターを離さない小さな工夫
では、リピーターはどうやって定着させるのか。ナントさんの工夫は拍子抜けするほど具体的です。一つめは、常連の荷物を置かせてあげること。「常連さんのホットウォーマーとかテーブルとか、もう置かせちゃっているんです。『他の人にも使われますよ』と言ったら『全然大丈夫です』って。だからもう、絶対うちをやめないだろうな、と」。セラピストにとって、毎回重い機材を持ち運ばずに済むことは大きな価値です。ホスト側は空きスペースを提供するだけで、解約されない理由を一つ増やせます。
二つめは、運用の柔軟さです。予約と予約の間に昼休憩で外に出る利用者について、「荷物を置いたまま抜けているんだろうな、というのはありますけど、サロンならそれもあり。もう目をつぶります」。規約どおりの厳格な運用でリピーターの使い勝手を損なうより、2人利用で部屋が荒れないというサロンの特性を踏まえて、常連が使いやすい状態を優先する判断です。
どちらの工夫にも共通するのは、常連にとって「ここが自分の店の一部」になる状態を作っていることです。荷物が置いてあり、勝手がわかっていて、割引もある。そうなったセラピストが別のサロンに移る理由は、ほぼなくなります。稼働率を上げる施策全般はレンタルスペースの稼働率を上げる9つの方法と単価の上げ方にまとめています。
競合は100件以上へ。それでもリピーター基盤があれば怖くない
池袋・大塚エリアのレンタルサロンは、この7年で4件から100件以上に増えました。実はその一因はナントさん自身にあります。「池袋は家賃が安くて渋谷・新宿並みの需要がある、といろいろなところで言ってしまったので、ガンガン増えましたね。自ら首を絞めた感じです」と苦笑いします。それでもナントさんのサロンが安定し続けているのは、競合が増える前にリピーター基盤を固めてあったからです。新規の奪い合いには参加せず、固定客で回す。先行者の利益は、検索順位ではなくリピーターという形で残りました。
これから始める人にとって、競合が100件以上あるエリアは厳しい戦場です。ただしナントさんは、エリアを選べば今でも十分に成立すると見ています。「エリアにレンタルサロンが2〜3件しかない、というところで予約が入っていたら、全然やれると思うんですよね」。実際、ナントさんが相談に乗っている方が今月オープンしたサロンは、スタートから順調に予約が入っているそうです。候補エリアの競合数と予約の入り具合を事前に確かめることが、サロン開業の最初の調査になります。周辺の需要の調べ方は【upnow独自調査・2026年】レンタルスペースで伸びる用途は?予約56万件で見る需要と単価も参考になります。
まとめ:新規はプラットフォーム、リピーターは自社予約の二本立て
ナントさんのサロン運営を整理すると、構造はシンプルです。開業初期の新規集客はプラットフォームと検索対策に任せる。ついた顧客には、荷物置き場や柔軟な運用、クーポンといった小さな便益を積み重ねて、自社予約のリピーターに育てる。リピーターが4人つけば、新規が月1〜2件でも売上は安定し、運営の手間はほとんどなくなる。騒音クレームがほぼないという用途特性が、この安定をさらに底堅くしています。
レンタルスペースの用途選びで迷っている方にとって、サロンは派手さこそないものの、「小さく始めて、静かに続く」選択肢です。ナントさんの用途選びの考え方や運営哲学の全体像は、インタビュー記事でどうぞ。
ナントさんへの一問一答
レンタルサロンは収益化しやすいですか?
貸会議室と比べると収益化しやすい用途です。利用者が個人のセラピストで自費のため、クーポンなどリピーター向けの施策が効きやすくなります。貸会議室は法人利用が多く、経理担当者が予約するケースではこうした施策が届きにくくなります。
レンタルサロンに必要な物件条件は何ですか?
施術ベッドが置ければ部屋は小さくて構いません。駅近であれば自然光などの条件は問われないため、物件のハードルは他の用途より低くなります。高層階の場合はエレベーターがあると望ましい程度です。
レンタルサロンで騒音トラブルは起きますか?
ほとんど起きません。利用者が施術者とお客さんの基本2人に限られるためです。ナントさんは7年の運営で騒音クレームを受けたケースを聞いたことがないと話しており、近隣クレームによる立ち退きリスクも低くなります。
レンタルサロンでリピーターを定着させる方法は?
常連の荷物を置けるようにするのが有効です。ホットウォーマーやテーブルを置かせておくと、毎回重い機材を運ぶ必要がなくなり、他のサロンに移る理由がなくなります。ホスト側は空きスペースを提供するだけで、解約されない理由を一つ増やせます。
競合が多いエリアでもレンタルサロンを開業できますか?
エリア選び次第です。池袋のように競合が100件以上あるエリアは厳しいものの、レンタルサロンが2〜3件しかないエリアで予約が入っているなら、今でも十分に成立します。候補エリアの競合数と予約の入り具合を事前に確かめることが最初の調査になります。
編集後記
取材の中でナントさんが「全部アップナウですね」と話していた自社予約の受け皿は、当社が提供する予約システム・upnowです(ナントさんはupnowを利用するホストで、本記事は編集部の取材に基づくものです。掲載にあたって対価は受け取っていません)。upnowは、Googleマップ・指名検索・SNSから来た人やリピーターの予約の受け皿となる自社予約システムを、初期費用・月額費用0円(サイト利用料や決済手数料などは別途かかります)で用意できるサービスです。リピーターを自社予約で受けたい方はご検討ください。

