レンタルスペースの物件選び|用途・契約・立地の確認手順

文・編集:upnow media編集部 | 編集方針

レンタルスペースの収支は、どの物件を借りるかでほぼ決まります。家賃や内装費だけでなく、どんな用途なら需要があるのか、オーナーや管理組合がレンタルスペースとしての利用を認めてくれるのかも、物件ごとに違うからです。

この記事では、これからレンタルスペースを始める方に向けて、物件選びで確認したいことを、用途と立地、広さと家賃、物件の探し方、契約と管理規約、内見のチェックの順に整理します。候補の物件を比べるときの判断材料としてお読みください。

この記事の要点

  • 物件探しは、先に用途を決め、その用途に合う立地と広さの条件を置いてから始める
  • 広さと家賃は物件単体の安さではなく、その家賃を払って何割稼働すれば黒字になるかで判断する
  • 問い合わせの最初にレンタルスペースとしての利用可否を伝えると、無駄な内見を減らせる
  • 分譲マンションの一室は、オーナーの承諾に加えてマンションの管理規約の確認が必要

物件選びは「用途を決めてから探す」が基本

物件探しは、先に用途を決め、その用途に合う立地と広さの条件を置いてから始めます。よさそうな物件を見つけてから用途を考えると、需要が合わず、稼働が伸びないリスクが高くなります。

用途によって、求められる立地は大きく異なります。不動産会社ニューオのコラムでは、パーティースペースはターミナル駅から徒歩10分圏内、貸会議室はオフィス街の駅から徒歩10分圏内が目安とされ、撮影スタジオやジムは駅から離れた物件でも成り立ちやすいとされています(2023年5月公開)。クルトンの運営するMETRO MINUTESも、駅から遠いスペースは需要が少なく、徒歩1分か6分かが大きな違いになり得ると指摘しています(2024年7月更新)。

周辺の環境も、用途ごとに見るポイントが変わります。同じくMETRO MINUTESでは、パーティースペースは近くにスーパーや100円ショップがあると利用者にとって便利で、大きな機材を持ち込むことがある撮影スペースでは駐車場を使えるかが重視されるとしています。

用途を決めるときは、周辺で同じ用途のスペースがどれくらいの単価で、どの程度予約が入っているかも見ておきます。予約サイトで同じエリア・同じ用途のスペースを検索し、料金と予約カレンダーの埋まり方を確認するだけでも、需要の目安がつかめます。

参照URL https://newo.co.jp/blog/rentalspace-property-search/ https://crewtone.jp/contents/rentalspace-advice-2/

広さと家賃は「損益分岐の稼働率」で判断する

広さと家賃は、物件単体の安さではなく、その家賃を払ったうえで何割稼働すれば黒字になるかで判断します。同じ家賃でも、用途と単価によって必要な稼働率は大きく変わります。

ニューオのコラムでは、初めての方には20平方メートル前後の小さなスペースから始めることがすすめられています。管理の負担が少なく、トラブルのリスクも抑えやすいためです。一方、35平方メートル以上の広いスペースは収益性が高い反面、騒音などのトラブルが増えやすいとされています。

家賃はレンタルスペースの固定費の大部分を占めます。候補の物件ごとに、家賃を含む月の固定費、想定する1時間あたりの単価、手数料や清掃費などの変動費を置き、損益分岐となる稼働率を計算して比べましょう。周辺の類似スペースの予約状況から見て、その稼働率に無理なく届きそうかどうかが、物件を選ぶ一つの基準になります。

また、物件取得時の敷金や礼金、内装費は、物件によって数十万円単位で変わります。家賃が安くても内装に費用がかかる物件は、回収までの期間が長くなります。月の家賃だけでなく、契約時にかかる総額と内装の必要性をあわせて比較しましょう。

参照URL https://newo.co.jp/blog/rentalspace-property-search/ https://crewtone.jp/contents/rentalspace-advice-2/

物件の探し方:レンタルスペース利用の可否を最初に伝える

物件探しで最も時間を失いやすいのは、条件のよい物件を見つけたあとで、オーナーからレンタルスペースとしての利用を断られることです。問い合わせの段階で用途を伝え、承諾を得られる物件だけに絞り込むのが効率的です。

一般的な賃貸物件の募集情報には、レンタルスペースとして使えるかどうかは載っていないことがほとんどです。不動産会社に問い合わせる際は、時間単位で利用者に貸し出すこと、不特定多数の人が出入りすること、夜間や週末にも利用があることを最初に伝え、オーナーに確認してもらいましょう。

オーナーが気にするのは、主に近隣からの苦情、建物や設備の傷み、防犯面です。スマートロックや防犯カメラを設置すること、利用規約で騒音や人数の上限を定めること、清掃の体制を整えることなど、どう運営するかを具体的に説明できると、承諾を得やすくなります。

契約で確認すること:転貸の承諾と借家契約の種類

オーナーから前向きな返事をもらえたら、その内容を契約書に反映させます。口頭の了承だけで始めると、担当者やオーナーが変わったときに説明できなくなるおそれがあります。

借りた物件を利用者に時間単位で貸すことは、転貸(又貸し)にあたる可能性があります。民法第612条は、賃借人が賃貸人の承諾を得ずに賃借物を転貸することはできないと定めています。使用目的や特記事項にレンタルスペースとしての利用を明記するなど、承諾の内容を契約書などの書面に残しておきましょう。

契約の種類も重要です。METRO MINUTESは、契約期間の満了で終了する定期借家契約では初期費用を回収できないリスクがあるとして、普通借家契約をすすめています。内装や家具に費用をかける場合ほど、契約期間と想定する回収期間が見合っているかを確認することが大切です。

参照URL https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089 https://crewtone.jp/contents/rentalspace-advice-2/

マンションの一室を使う場合は管理規約も確認する

分譲マンションの一室を借りたり、自分で所有する部屋を使ったりする場合は、オーナーの承諾に加えて、マンションの管理規約を確認する必要があります。管理規約で住宅以外の使用が禁じられていることが多いためです。

国土交通省のマンション標準管理規約では、第12条で、区分所有者はその専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならないと定めています。標準管理規約はマンションごとの規約をつくる際のひな形で、多くのマンションがこれを参考にしています。この規定がある場合、部屋を時間単位で第三者に貸すことは、規約上認められない可能性が高いと考えられます。

実際の規約の内容はマンションごとに異なるため、不動産会社を通じて管理規約と使用細則の写しを取り寄せ、専有部分の使い方に関する条文を確認しましょう。事務所や店舗としての利用を前提にした物件や、住居部分と分けて規約が定められている複合用途のマンションは、比較的検討しやすい候補になります。

参照URL https://www.mlit.go.jp/common/001202421.pdf

内見で確認したい設備と周辺環境

条件を満たしていても、実際の使いやすさは現地でしかわかりません。内見では、利用者の目線と運営者の目線の両方で確認します。

利用者の目線

駅からの道のりのわかりやすさ、夜道の明るさ、エレベーターの有無と広さ、室内の天井高や採光を見ます。写真映えは予約サイトでの見つけられやすさに直結するため、窓の向きや、壁や床の状態も確認しておきたい点です。

運営者の目線

室内の寸法、コンセントの位置、鍵の設置方法に加え、インターネット回線を引けるかを確認します。無人で運営する場合、鍵の受け渡しの方法は清掃スタッフの出入りにも関わるため、スマートロックを取り付けられる扉か、共用エントランスにオートロックがあるかは早めに確認しておきましょう。

周辺環境では、上下左右の部屋が住居かどうか、壁や床の防音性、共用部の掲示物を見ておきます。夜間の話し声や足音は、近隣トラブルの主な原因です。可能であれば平日と週末、昼と夜の時間帯を変えて周辺を歩き、利用が多い時間帯の雰囲気を確かめておくと安心です。

参照URL https://newo.co.jp/blog/rentalspace-property-search/ https://crewtone.jp/contents/rentalspace-advice-2/

まとめ:需要・収支・承諾の3つがそろう物件を選ぶ

レンタルスペースの物件選びでは、まず用途を決め、その用途に合う立地と広さの条件を置いてから探すことが基本です。候補の物件は、損益分岐となる稼働率に無理なく届くかで比べ、問い合わせの段階でレンタルスペースとしての利用をオーナーに確認しましょう。

承諾を得られたら契約書に残し、借家契約の種類と契約期間が回収計画に合っているかを確認します。マンションであれば管理規約もあわせて確認してください。需要、収支、承諾の3つがそろった物件であれば、開業後の手戻りを防ぎ、計画どおりに運営を始めやすくなります。

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